緑鮮やかな季節には、掌状(何枚もの葉が放射状に付いて手のひらのような形になる)の大きな葉をつけるトチノキが、ひときわ目立ちます。5月になると白い小さな花が円錐状に集まって咲くさまが、ひとつの大きな花のように見えて、遠目からもよくわかります。
北海道から九州まで、全国の山地で自生するトチノキの実は、古来食用として利用されてきました。しかし渋味があるため、生のままでは食べづらく、煮て粉にした中身をもち米と一緒に調理してお菓子や水飴を作ったり、米の代用にもされたりしたそうです。いまでも各地で土産物として「とち餅」や「とちの実煎餅」などが見かけられます。
材木としても幅広く利用され、かつては大径木(たいけいぼく)の幹をくり抜いて臼や船などが作られました。また木目が美しいので、いまでも建築材や楽器などに使われています。
トチノキは本来、涼しくて湿気のあるところを好むので、どこでも見かけるというわけにはいきませんが、公園や街路樹としても比較的よく使われ、東京では表参道付近の街路樹がそうです。栃木県ではその名のとおり「県の木」として指定されています。 |