春たけなわの4月、気品のあるモクレン(学名=マグノリア)の花の季節です。ふだんはあまり目立たないモクレンも、このときだけは花が枝いっぱいに咲き乱れ、人々の目を楽しませてくれます。
日本には、かなり古い時代に中国から渡来し、いままでは観賞用として広く植栽され、ときには生け花の材料にも使われています。その名は、かつてはランに似ていることから、「木蘭(もくらん)」、その後、蘭よりもハスの花に似ているとして「木蓮」と書くようになったそうです。
同じモクレン科の木としては、コブシの木があります。コブシの花は、千昌夫のヒット曲「北国の春」に歌われているように、北国の春の訪れを告げる花で、農作業始めの目安にもされていました。
また、コブシの白く美しい花が、ときには霜に打たれて花弁を傷め、花姿を一朝にして変えてしまうことを、『草木有情』(松崎直枝著)では「世にあって思わぬ妨げを受けるのは、ひとり、この花ばかりではない。先見の士は時に世に受け入れられず、聖者も棺を負うて後にようやくして認められるものが人の世の常ならば、霜に打たれて昨日の姿を失うのも、世のつれなき習いであろう。」と、早春にさきがけて咲く、この花の勇気をたたえています。 |