桃は「桃・栗3年」といわれるように、なんといっても植えてから実をつけるまで、とても早いものです。
白楽天は「桃を食ひ其核を種うれば、1年にして核、芽を生じ、2年にして枝葉を長じ、3年にして桃、花あり」と記しています。
食用の桃は病害虫が多く、一般家庭でよい果樹を実らせるのは難しいのですが、花桃は数多くの園芸品種が開発され親しまれています。
さて、桃といえば3月3日、桃の節句です。
女の子のいる家庭では、古くからお雛さまとともに桃の花を飾って祝ってきましたが、その由縁は、原産国の中国では、桃を仙果とみて邪気を追い払う霊力があると考えたからのようです。日本にもかなり古い時代に渡来しているようで、『古事記』にはイザナギノミコトが黄泉の国から追いかけてきた鬼たちを桃の実を投げつけて追い払う話があります。これも桃の霊力を信じたからでしょう。
そういえば、おとぎばなしの“桃太郎”も仙境から流れてきた桃から生まれていますね。人々の暮らしのなかにも、桃は古くからなじみの深いものです。縄文時代の遺跡からは、たくさんの桃の実が発見されています。当時は梅干しの種をちょっと大きくしたぐらいの実で、現在の桃よりすっと小さい実ですが、この時代から果物として食されていたと考えられます。
最後に古くから人々に愛された、桃の花を愛でた歌をひとつ。万葉の歌人、大伴家持が越中で詠んだ歌です。 |